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導入事例とよくある質問(Q&A)

導入事例

訪問診療の導入に至った具体的な実例を挙げてみます。

※個人情報の観点から,一部具体的な箇所については客観性を担保できる範囲内で書き換えています。

① 70代男性 膵臓癌の終末期

基幹病院の地域連携室から在宅緩和ケア依頼のため当院へ打診があった。入院で化学療法(抗がん剤治療)を行っていたが,全身状態が悪化しつつあり治療継続が困難となってきた。自宅での緩和ケアをご本人が望まれたため,退院カンファレンスを行ったうえで自宅退院となった。

自宅では痛みや苦痛を緩和するために麻薬を含めた鎮痛薬等で症状緩和をはかり,食事も徐々に減少してきたため点滴を開始した。病状の進行とともにウトウトと寝ている時間が長くなった。深夜に呼吸停止のため,当院および訪問看護師が訪問しお看取りした。

当院で在宅緩和ケアに取り組んでいます。麻薬を含む各種鎮痛薬や点滴,鎮静薬等を駆使して,苦痛を緩和しご自宅で過ごせるようにいたします。

② 60歳代男性 筋萎縮性側索硬化症(ALS)

半年ほど前から筋肉痛や脱力感を自覚していた。かかりつけ医を経て基幹病院を受診し,精査の結果ALSと診断された。筋力は月ごとに低下し,食事の飲み込みすらも難しくなってきた。呼吸困難が強くなってきたため,病院で気管切開のうえ人工呼吸器を導入し,胃瘻を造設された。

最終的には寝たきりで意思疎通困難となったが,病状自体は胃瘻と人工呼吸器の導入のため大きな変化なく過ごせるようになった。定期的な気管カニュレ交換など医学的処置が必要だが,通院負担が大きいため病院の地域連携室を通して当院へ訪問診療の依頼があった。

訪問診療では定期的に気管カニュレを交換し,内服薬や注入食の調整など全身状態の管理を継続し,数年にわたって訪問診療を継続している。時には肺炎を発症したが,その都度抗生剤による点滴で改善し現在に至る。

ALSやパーキンソン病,進行性核上性麻痺などの神経難病の方で,通院が困難になった方の訪問診療も行っております。人工呼吸器や胃瘻の管理も行っております。また人工呼吸器などの延命治療を希望しない場合もしばしばあり,可能な限り苦痛なく最期を迎えられるよう責任を持って緩和ケアを行います。

③ 90歳代女性 老衰

これまで病気らしい病気はせずに過ごしてきたが,年齢を重ねるとともに体力や筋力が徐々に衰え,ちょっとしたことで体調を崩しやすくなった。

近頃はしばしば肺炎を発症し,救急車を呼んで入院していた。肺炎は治ったものの,退院する度に筋力が低下して寝たきりに近づいていった。在宅医療が可能かどうか,担当のケアマネジャーからお問い合わせをいただいた。

当院でご本人・ご家族を交えて訪問診療についての面談を行った。これまでの治療経過や現在の病状,介護度,ご自宅の環境や介護サービスなどを総合して今後の治療方針を立案し訪問診療が始まった。定期的な診察のおかげで,肺炎の再発を早期に発見し,訪問看護と協力して自宅で抗生剤による点滴治療を行い回復した。その後も何度か同様の経過を繰り返された。1年半の訪問診療の末,最期は老衰のため穏やかに自宅で永眠された。

これまで病気という病気をしたことがなく,一度も入院したことが無いという逞しい方にしばしば出会います。しかし年齢を重ねるにつれて心身が衰え,色んな不調が出るようになります。いままで元気だった分,精神的なショックが大きいこともあるでしょう。我々はこういった方々を訪問診療によって心身ともにケアし,ご自宅で穏やかに天寿を全うできるよう努めています。

④ 70歳代女性 認知症

認知症や高血圧などでかかりつけ医に家族同伴で通院していたが,近頃は本人の通院拒否のため受診できていなかった。家族が薬をもらいに行くだけとなっており,症状に合わせた薬の調整も長らくできておらず,担当のケアマネジャーから当院へ訪問診療の依頼があった。

初診時,物忘れに加え,認知症の周辺症状と言われる不安や抑うつ(うつ状態),睡眠障害などが強く認められた。家族が近隣に住んではいるものの,ご本人は独居であった。独りになると不安が強くなるのか,夜中や明け方に家族への電話が頻繁にあり,家族さんは疲労がたまっていた。

ご本人のお話を傾聴するとともに,病状に合わせて内服薬を調整したことで,徐々に不安などの症状は軽減してきた。家族へ電話をかけることもなくなり,デイサービスへも明るく通えるようになった。

認知症は現在日本の大きな課題です。物忘れに加え,徘徊や暴言,介護抵抗や不安,怒りっぽい,手足の震えなど,同じ認知症でも様々なタイプがあります。通院できず漫然と同じ内服薬を続けているといった例もしばしば出会います。当院では,訪問診療によって病状や生活環境などを総合的に考慮して,内服薬の調整や環境整備,患者・家族教育などを行っております。

⑤ 60歳代男性 うつ病

うつ病のため長年近くの精神科に通っていた。通院することの精神的負担が大きく感じるようになり,ここ最近は何ヶ月も受診しておらず,症状がひどくなってきた。このことを家族が心配になり,当院へ訪問診療の依頼があった。

当院訪問にて抗うつ薬や睡眠薬の調整を行ったことで不安や不眠の症状は軽減した。しばらくの訪問の後,ご本人に通院意欲がでてきたことから当院は終診とし,もとの精神科に通うようになった。

うつ病や統合失調症,不安障害などの精神疾患を合併された患者さんもいらっしゃいます。時には通院拒否のため内服薬がもらえない/調整できていないというケースもあります。当院では,精神疾患を抱えた通院困難な方の訪問診療も行っております。ただし,入院が必要な急性期や急激に悪化している場合や,確定診断をつけるための精査が必要な場合は,基幹病院へ受診していただいております。

⑥ 1歳男児 18トリソミー(先天性染色体異常症)

18トリソミーによる重度合併症で全身状態が悪化しつつあったため,ご自宅でのお看取りのために当院訪問診療の依頼があった。基幹病院の小児科の主治医と連携をとりながらご家族に囲まれてご自宅で息を引きとった。

当院は小児の訪問診療にも携わっています。基幹病院の小児科の先生を軸に,ご自宅での全身状態の観察や医療処置を行い,容態悪化の早期発見につとめます。精密な検査や入院が必要と思われる場合は,当院から直接病院へコンタクトをとり,スムーズな受診・入院につなげます。ご家族が望まれた場合は,ご自宅でのお看取りまで責任を思って診療に当たります。

Q&Aよくある質問

訪問診療と往診の違いは?

「訪問診療」は定期的に,そして計画的に診察すること(例:毎月第2・4水曜日)。毎月決まった曜日に外来に行くことの在宅版です。

「往診」は,容態が悪くなり通院が難しい患者さんからの要請を受けて,予定外に診察のため訪問することです。救急車を呼ぶほどでもないけれども,診察は必要と思われる場面で行います。

緊急往診って何?

当院の定期的な訪問診療を受けている方に対して,24時間の電話対応および緊急往診体制をとっております。緊急時の連絡先はあらかじめお伝えいたします。

病院にも通院できますか?

訪問診療を受けながら,病院でしかできないような検査や治療のために通院される方もいらっしゃいます。当院と通院先の主治医の間で定期的に情報交換し,最適な診療が受けられるように努めます。またご自宅で急に症状が悪くなった際は病院への紹介状や入院手配も行っております。

検査が必要なときは?

当院は多くの基幹病院と連携を取っており,迅速に受診の手配をいたしますのでご安心ください。容態によっては,検査はもちろん受診すら大変な場合もあります。ご本人やご家族と相談してどこまで検査をするかについてあらかじめ相談したうえで手配します。

訪問の時間帯は?

あらかじめ日時をご相談の上,なるべく予定の時間帯にお伺いするようにしております。だたし急患対応や交通事情などにより時間が前後する事がしばしばあることをご了承ください。やむを得ず予定を変更させて頂く場合は,事前にご連絡いたします。

お薬はどうしたらいいの?

内服薬や点滴,各種医療物品などは原則として院外処方としております。入院治療に準じた薬剤や物品を使用する事もある在宅療養では,特殊な物品を取り扱っている薬局が比較的限られてしまうため,必要十分な対応ができる薬局をいくつかご提案しております。またご家族が薬局へ行くことが困難な場合は,別途費用がかかりますが,薬剤師さんに配達と管理(残薬の確認や飲み合わせ等の確認など)をしていただくことが可能です。

医療費の支払いは?

診療費は1カ月分をまとめて請求し,銀行または郵便局の口座引き落としとさせていただきます。請求書を翌月中旬までにお渡しいたします。また領収書・明細書は支払い完了後に送付させていただきます。

医療費控除は使えますか?

当院の診療費は,医療費控除の対象となります。
こちらの医療費の目安と各種助成も参考にしてください。

点滴などの廃棄物は?

ご家庭で処分できない針などの医療廃棄物は当院で回収し処分いたします。詳しくは訪問時にご説明します。